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文化・芸術

2016年11月29日 (火)

画家ボッティチェリの『謎』

『春』『ヴィーナスの誕生』で知られる画家ボッティチェリ、女性をこのように華美に描いた画家はいない、わたしも例外なくそう思っていました。晩年のボッティチェリが、ダンテ『神曲』を素材に、多くの素描を遺していることはあまり知られていない・・・学生の頃、これらの素描を見てから、この画家に違和感と疑念を抱きました・・・それからは、画家ボッティチェリは『謎』そのものになりました。
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この『神曲』が、ミケランジェロの壁画『最後の審判』にも影響を与えています。先日、ダリの版画『神曲シリーズ』を観たことが、このことを想い起こしたのですが、多くの画家が描きたくなるダンテ『神曲』の魅力については・・・後日、書きたいと思います。
※『神曲』は、地獄篇 (Inferno)煉獄篇 (Purgatorio)天国篇 (Paradiso)で構成され、各篇はそれぞれ34詩篇、33詩篇、33詩篇の計100詩篇で構成されています。
『神曲』を素材に描いたボッティチェリの絵も100枚近くあります。これらを詳細に観ていくと、詩が意味するところと描かれた情景とが驚くことに一致することがわかります。「一致して当然だろう」と思うかもしれませんが、当時の社会状況から考えれば、そう簡単ではありませんでした。特に、教会からの依頼(宗教画)を受けてきた画家にとっては、ダンテの詩をそのまま表現することは難しいことでした。ボッティチェリはあまり器用な画家ではありません、実直に理想を追いかけた画家でした。宗教変革(サヴォナローラ )の嵐に巻き込まれてフィレンツェを追われた画家ボッティチェリが、ダンテの『神曲』(独自の世界観)に惹かれたとしても不思議はない・・・そう思います。ダンテの詩篇とボッティチェリの素描がみごとに一致する理由(謎を解く起点が)が、そこにあったのです。・・・続きは後日に・・・。
この政変から、イタリア・ルネッサンスが次第に終焉に向かうことになります。

2016年6月26日 (日)

美術専門古書店『月映』の始まり

雨上がりの夜、たまり水に月が映っています・・・その静けさ、その不気味なほどの美しさ、わたしはそう言った光景が好きでした。水田に太陽光がまぶしく跳ねているような健康な風景や夕陽がすべてを紅に染めていく時間景観とは全く違う、際だった点景の美しさがそこにはあります。
わたしは、いつしか『喫茶店か古書店を開きたい』と想うようになり、そこには『月映』と名付けようと・・・。これが、美術専門古書店『月映』の始まりです。
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わたしの好きな版画家、恩地孝四郎・田中恭吉・藤森静雄の『月映』、萩原朔太郎へのオマージュとしての意味合いもあります。

2016年2月 5日 (金)

絵本「十力の金剛石」(宮沢賢治作)の紹介

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絵本「十力の金剛石」(宮沢賢治作)、「幻想的な美しい世界」に迷い込んでしまった2人の子どもの目を通して物語を描いています。宮沢賢治のお話は、自然の成り立ちとはいつも無縁ではありません。このおはなしでも、2人の子どもたちは、自然から多くのことを学びます。21世紀は「宮沢賢治の眼」で、この世界の有様を見つめ直すことが大切です。18世紀以前のように、自然と共存することは難しいでしよう。わたしたちの生活は、無尽蔵にエネルギーを消費してきました。便利な生活に慣れてしまい、もう戻れないところまで「生活意識」がきてしまったのです。せめて、わたしたちでできること、考えることぐらいはしてみたいものです。

2016年1月 7日 (木)

『LE DIABLE A PARIS(パリの悪魔)』

『LE DIABLE A PARIS(パリの悪魔)』

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19世紀中頃に、『LE DIABLE A PARIS(パリの悪魔)』が発刊されました。
この本の編集者がエッチェル、文章をバルザック、ミュッセ、ジョルジュ・サンド、スタール、シュー他、挿絵はガヴァルニ、グランヴィル、ベルタル、シャム他。当時の帝政(ナポレオン他)と闘った知識人や民衆が、フランス型民主主義の基盤を造った、わたしはそう思います。日本のメディアや知識人・市民社会が育っているかというと疑問です、想定以上に土壌がぬかるんでいるのかも知れません。

2015年11月14日 (土)

A・プレヴォー著『マノン・レスコー』と宝塚月組公演について

A・プレヴォー著『マノン・レスコー』と宝塚月組公演




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本日11月13日は、月組 宝塚大劇場公演 Musical 『舞音-MANON-』 グランドカーニバル 『GOLDEN JAZZ』 (主演:龍 真咲)の初日でした。



【宝塚歌劇公式HP】
http://goo.gl/nzdPVF
フランス恋愛文学の最高峰の一つであり、バレエやオペラ作品としても人気の高い、アベ・プレヴォ作「マノン・レスコー」を公演しています。

わたしは、若い頃からよくタカラヅカを観ていましたが、このアベ・プレヴォ作「マノン・レスコー」を何故やらないのかと不思議に想っていました。フランスでは繰り返しミュージカルや舞台で演じられてきた代表的な作品でしたから、なによりもタカラヅカの演目に加えて欲しい、ぴったりの作品と想っていました。その願いが叶って、ほんとうにうれしいのです。

今日、紹介する本は、フランスで1839年に発行されたA・プレヴォー著『マノン・レスコー』です。この本には、トニー・ジョアノの華麗な挿絵(木口木版)が18点も入っているManon5のです。

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2015年6月21日 (日)

ワーウイック・ゴーブルの挿絵

企画展『19世紀・出版と挿絵文化』から、美しい挿絵(カラーリトグラフ)を紹介いたします。

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ワーウイック・ゴーブルが『Stories from The Pentamerone(ペンタメローネ)』のために制作した32点のうち4枚です。この頃の挿絵画家たちは、個性(表現スタイル)が明確で、いずれも描写力・色彩感覚に優れています。わたしもそうですが、この時代を『挿絵の黄金時代』と評価している人も多いのです。

2015年6月19日 (金)

北陸中日新聞の取材記事(本日朝刊)を掲載します

昨日、企画展『19世紀 出版と挿絵文化 展』が始まりました。小松駅前れんが通り古書店『月映書房』(小松駅から歩いて2分)にて、お昼12時から19時頃(夕方)まで開催しております。

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北陸中日新聞の取材記事(本日朝刊)を掲載します。18世紀19世紀の書籍に載せられる挿絵は、ほとんどが版画になります。時代によって、あるいは印刷工房によって、版画技法が違ってきます。さまざまな版画技法についてわたしの説明が不足していました。そのせいか、記事では、そのところが曖昧になっています。いつも思うことですが、このように新聞で丁寧に扱っていただけることが、ほんとうにうれしいです。

取材のあと、しばらくして、わたしの携帯に年齢の確認がありました。わたしは少し年齢を(気づかずに)偽っていたのです、新聞は事実を正確に報道する義務があります、そのことを再確認いたしました。しかしながら・・・誤魔化せるものなら・・・これも気の迷いです。

2015年6月15日 (月)

ボードレールがフランス語に翻訳したポーの『怪奇小説集』に、オーギュスト・ルルーが挿絵(カラーリトグラフ)を描いています。

19世紀に現れたアメリカ生まれのひとりの小説家 Edgar Allan Poe(エドガー・アラン・ポー1809-1849年)が 世界に与えた影響は計り知れない 。

(次回「EdgarAllanPoeと江戸川乱歩」の企画を準備中)

わたしには、1845年ポーの詩「大鴉」が印象に残っていますが、「アッシャー家の崩壊」「黒猫」「モルグ街の殺人」「黄金虫」など、どちらかというと陰鬱な小説で知られています。Ranpo6ポーの作品は、フランス象徴派の文学者たちに高く評価されました。ボードレールの詩集『悪の華』には、ポーの影響が認められます。
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日本でも多くの作家が、何らかの形でポーの影響を受けています。

詩人萩原朔太郎の「鶏」「猫の死骸 ―Ulaと呼べる女に」ではポーの「大鴉」「ウラリューム」から得たモチーフや技法を生かしています。

芥川龍之介は「詩作の哲理」などポーの創作理論から自作への応用を試み、「尾生の信」(大正9年)ではポーの「大鴉」に倣った反復句「またあらじ」を意識的に用いていています。

日本における探偵小説の黎明期を支えた江戸川乱歩は、作家名を「エドガー・アラン・ポー」からなぞるほど心酔していました。言うまでもなく、ポーの推理作品からの影響も濃い、ポーの作品から着想を得た作品も数多い。

ポーの特異な世界観は、文学者だけにとどまらず、多くの画家たちにも影響を及ぼしました。オディロン・ルドンは、『エドガー・ポーに』の優れた連作を遺しています。日本でも、多くの画家がポーの影響下にあると言っていい。これほど、奇異で優れた作家は珍しい。

ボードレールがフランス語に翻訳したポーの『怪奇小説集』に、オーギュスト・ルルーが挿絵(カラーリトグラフ)を描いています。今回の企画展に、『特別展示』しています。

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2015年6月11日 (木)

企画展『19世紀(フランス・イギリス)出版と挿絵文化』のポスターを制作

企画展『19世紀(フランス・イギリス)出版と挿絵文化』のポスターを制作しました。

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日程・場所も、決定いたしまし 日程は、6月18日(木)から6月28日(日)です。場所は、少々狭いですが小松駅前れんが通りの古書店『月映書房』、なんと言っても準備がしやすい(時間がかからない)。お昼(12時)から19時頃までと、わたしたちの都合に合わせた設定にしています。ですから、気楽に訪問願えたらと・・・近くに来たついででいいですよ。

2015年6月 9日 (火)

『美し...い本』があふれていた時代

数日前、「美術出版社がCCC(TSUTAYA)の支援を受けるそうだよ」と友人から聞いた。私たち美術関係の仕事をしてきた者の多くが、この出版社の恩恵を受けています。それだけに、驚き安堵したのですが、出版社や書店の苦悩は大きい、このような状況が続いています。

『美しい本』が私たちの生活を潤し、それが豊かさの象徴でもあった時代、視覚や触覚(手触り)を愉しませてくれた『大切なモノ』が失われていくのを実感します。

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趣味で始めた古書店『月映書房』ですが、「一石を投じてみようかな」と思い立ち、『19世紀の挿絵画家たちの魅力』を伝える展示を企画しました。フランスやイギリスの出版業界変革の時代を知って欲しい。『美しい本』を造りたい、そういった情熱が伝わってくる時代を知らせたい。有能な挿絵画家たちの活躍の場が、この時代にはありました。ギュスターヴ・ドレは、自身の工房を持っていましたし、グランヴィルは絵を中軸にした本を自ら企画し(物語に挿絵を描くのではなくその逆)出版しています。優れた挿絵画家が次々と現れたのもこの時代でした。本の装幀だけを専門にする職人も多く、『美し...い本』があふれていた時代と言っていいのかも知れません。

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私の投じた小さな石(意志)が、どれほどの波紋を描くか・・・たいしたことないかも知れませんが・・・。ウイリアム・ブレイクの銅版画やギュスターヴ・ドレの木口木版を詳細に見るとわかるのですが、挿絵画家の立ち位置(理念の拠り所)の明確さに驚き、その観察眼や優れた描写力などに敬意を覚えるのです。これら自立していた作家たちの仕事を見て欲しい、そう思うのです。